昭和館

特別企画展

昭和100年記念 特別企画展
めくるめく紙芝居 ―館蔵印刷紙芝居コレクション―

開催趣旨

 街頭紙芝居が誕生したのは、昭和初頭と言われています。その後、教育や啓蒙活動を目的として印刷紙芝居が制作されるようになりました。大量生産が可能な印刷紙芝居は情報伝達手段の一つとして普及していき、戦前から戦後を通して、学校教育や宣伝活動に用いられました。
 本企画展では、昭和館が所蔵する紙芝居コレクションを中心に、印刷紙芝居が担った役割やその変遷を紹介します。

主催昭和館(厚生労働省委託事業)
後援千代田区・千代田区教育委員会
会期令和8年7月18日(土)~9月6日(日)
会場昭和館3階 特別企画展会場
入場料無料
開館時間 10時~17時30分(入館は17時まで)
休館日毎週月曜日(7月20日(月・祝)は開館、21日(火)は休館)
チラシ「めくるめく紙芝居─館蔵印刷紙芝居コレクション─」

展示構成

Ⅰ.印刷紙芝居の誕生と展開

 街頭紙芝居が戦前の黄金期を迎え、子どもから絶大な支持を集める一方で、非教育的な内容も少なくないことから、保護者や教育者からはしばしば問題視されました。しかし、子どもへの影響力に注目し、教育的活用を見出す動きも現れます。
 昭和8 年(1933)、今井よねが紙芝居刊行会を組織し、初めて印刷による紙芝居が誕生します。その後、昭和10 年には全甲社による幼稚園紙芝居も出版され、児童教育の分野で印刷紙芝居が活用されます。
 大衆娯楽として定着した街頭紙芝居に対し、印刷紙芝居は児童への教育・普及を目的に発展していきます。

【トピック】今井よねの活動と印刷紙芝居の黎明/保育・児童教育への展開
【展示紙芝居】「赤ヅキンチャン」/「チョビ助物語」など

「少年ダビデ」
 
紙芝居刊行会によって出版された印刷紙芝居の第一巻。
                発行:紙芝居刊行会
                昭和8年(1933)7月
「なくなった銀貨」
 
 昭和13年から昭和16年にかけて刊行された福音紙芝居のシリーズの一作。「ルカによる福音書」を元にしたもの。奥付には編集兼発行者として今井よねの名前が記されている。
                           発行:紙芝居刊行会           
                         昭和15年(1940)12月

Ⅱ.戦争と印刷紙芝居の活用

 昭和12年(1937)に日中戦争が勃発すると、紙芝居はその性質から国策宣伝のための手段として注目されるようになります。日本教育紙芝居協会を始めとするさまざまな団体によって紙芝居が制作されますが、その内容は時局や国策を反映したものが多くなりました。紙芝居は国策宣伝に有効なメディアとして広く認められるようになり、紙芝居を専門としない団体や一般の人々も紙芝居の制作や上演に携わるようになります。
 一方で、戦時下でも変わらず紙芝居は娯楽としても用いられました。戦地の兵士や疎開した児童に対する慰問活動に紙芝居は活用され、彼らに束の間の楽しみを提供しました。

【トピック】 国民文化としての確立 / 国策紙芝居と制作の担い手たち / 慰問への活用
【展示ポスター】 「常会の手引」 / 「軍神の母」 / 「進め一億“火ノ玉”父さん」 など

「父は九段の桜花」
 

 靖國神社で戦死した父と対面する遺児の物語。新興キネマで製作された映画が原作で、権利を買い取った軍事保護院によって紙芝居化された。
                          製作:軍事保護院
                          昭和14年(1939)9月

戦地での紙芝居の上演
 

 慰問のために戦地に派遣された紙芝居師が、兵士たちに「父は九段の桜花」の紙芝居を上演している様子。
                                戦中

Ⅲ.印刷紙芝居の再出発

 空襲による会社や印刷所の焼失、資材不足などが起因し、印刷紙芝居は復活に時間を要します。わずかに刊行された紙芝居も、童話を主題にした子ども向けのものや、戦中に出版された内容を改変した作品が主流でした。
 昭和20年(1945)、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)による紙芝居の検閲が開始され、極東国際軍事裁判で紙芝居業界の関係者が召喚されるなど、戦時下における国策宣伝の活動が追及されました。以降、業界全体として民主化の道を探るべく、複数の紙芝居団体が誕生します。
 戦後、印刷紙芝居は再度教育の場における活用を目指します。学校教育や保育現場などで紙芝居の活用を促すことで、紙芝居の新たな道を切り拓こうとしました。

【トピック】 紙芝居の民主化を目指して / 保育・教育現場での活用
【展示紙芝居】 「獅子帰る」 / 「シグナルさん」 / 「きれいなて」 など

「銅像物語」

 昭和18年に刊行された紙芝居。「お国のお召しがあったあと」の文言に墨塗りがされている。終戦後、民主主義に反するものや、軍国主義的な内容は、墨塗りや改変が行われた。
                     発行:日本教育画劇株式会社
                                戦後

紙芝居の読み聞かせ風景

 兵庫県神戸市の幼稚園での読み聞かせ風景。先生が園児に向けて、高橋五山作「きれいなて」を実演している。

昭和27年(1952)

みどころ

〇紙芝居「この子を残して」関連資料一挙公開

 昭和館が所蔵する永井隆著『この子を残して』の紙芝居化における関連資料を公開します。『この子を残して』は医学博士・永井隆の随筆で、白血病の悪化により病床に伏した永井が愛する我が子を遺していく後悔などが綴られています。紙芝居「この子を残して」制作にあたり、絵を担当した日本画家・安西啓明との手紙や表紙原画、永井自身による草稿を展示します。

原画「この子を残して」

        昭和25年(1950)頃

〇館蔵紙芝居が端末で見られる!

 本展では紙芝居の一部場面を抜粋して展示いたしますが、館蔵の紙芝居は5階・映像音響室のパソコン端末にて、裏書き含め全ページ閲覧が可能です。また、レコード紙芝居の音源も同フロアの端末にて視聴することが出来ます。


イベント情報

(1)ワークショップ「フォトフレームをつくろう

紙芝居舞台風のフォトフレームを作ります。

開催日時令和8年8月1日(土)、8月29日(土)
13:30~15:30        
場所3階会議室
参加費無料

(2)展示解説

担当者による展示解説を行います。

開催日時令和8年7月26日(日)、8月23日(日)
14:30~(所要時間約30分)      

(3)紙芝居上演会 特別編

プロの紙芝居師たちが印刷紙芝居を上演します。

開催日時令和8年8月22日(土)
①13:00~14:00 ②14:30~15:30
会場1階ニュースシアター
出演スズキスズ・せんべい・森下昌毅(予定)

お問い合わせ

〒102-0074 東京都千代田区九段南1-6-1 昭和館学芸部 
TEL.03-3222-2577

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