昭和館

特別企画展

昭和の面影 ~職業絵尽を中心として~

会期平成13年11月23日(金)から12月24日(月)
会場昭和館3階 特別企画展会場
入場料特別企画展は無料(常設展示室は有料)
開館時間10:00~17:30(入館は17:00まで)
休館日月曜日(12月3日・24日は開館)

小泉癸巳男 配給物絵日記 昭和19年10月29日・30日・31日

 このたび昭和館では、「昭和の面影~職業絵尽を中心として~」と題して特別企画展を開催する運びとなりました。
 本展では、洋画家の和田三造(わだ さんぞう)が描いた「昭和職業絵尽」(昭和14~16年)や「続昭和職業絵尽」(昭和29~31年)をはじめ、小泉癸巳男(こいずみ きしお)画『配給物絵日記』(昭和19年)、長谷川春子ら女流美術家奉公隊25名の合作『大東亜戦皇国婦女皆働之図(だいとうあせんこうこくふじょかいどうのず)春夏の部』(昭和19年)など約80点の版画やスケッチにより、戦中・戦後という時代の様々な職業に従事する人々とその暮らしぶりを振り返ります。
 中でも、「昭和職業絵尽」、「続昭和職業絵尽」は、伝統的な木版技術を引き継いで原画制作の画家・彫師(ほりし)、刷師(すりし)という職人技を駆使して制作されたもので、数十度の工程で彩色を施した作品をじかにご覧いただき、その魅力を感じていただければ幸いです。

和田三造画「昭和職業絵尽」とは

 大野麥風(おおの ばくふう)画「大日本魚類画集」の監修者である品川清臣の回想によると、和田三造は伝統的な職人絵尽に範をとり、近代化に伴って現れた新しい職業だけでも、消えつつある伝統的な職人の姿だけでもなく、新旧両面から世相風俗を描いた職業人物画のシリーズを描こうとしたようである。このため和田は、木版画制作の名匠を東京や京都から集めて西宮に呼び寄せ、近くの下宿屋を買い取って彫師や刷師八名とその家族を寄宿させている。
本シリーズの刊行は、昭和13年(1938)より5ヵ年計画で、毎月2点づつ全部で百種刊行する大仕事であり、各新聞社が紹介記事を掲載し、朝日新聞は版画家の吉田博の批評文まで載せている。こうして、日本全国はもとより、樺太や満州、シンガポールなどからも申し込みが殺到したが、昭和18年(1943)戦局の悪化に伴い刊行は中止された。
戦後、京都版画院から刊行された「続昭和職業絵尽」は、「昭和職業絵尽」を引き継いで当時の風俗を巧みに描いたものであるが、刊行されたのは24図のみで当初予定の百図は完結するに至らなかった。

和田三造
昭和職業絵尽 金魚屋
昭和14年8月

和田三造
昭和職業絵尽 写真屋
昭和31年4月

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