特別企画展

Special Exhibitions

「SF・冒険・レトロフューチャー ~ぼくたちの夢とあこがれ~」


開催主旨

 いつの時代においても、子どもたちは読物から想像力を刺激され、さまざまな事象にあこがれを抱きました。それは戦時中であろうと、荒廃した終戦直後であろうとも、変わることのない子どもたちの憧憬だったといえます。少年雑誌に描かれる空想科学(SF)や冒険、未来予想図の挿絵や口絵は、子どもたちの夢を掻き立てました。
 本企画展では、戦中から戦後にかけて『少年倶楽部』誌上で活躍した「ペン画の神様」樺島勝一、「黄金バット」を生みだした永松健夫、絵物語ブームを牽引した山川惣治、SFや戦記物作品を手がけた小松崎茂など、挿絵画家たちの画業を紹介するとともに、貴重な原画を展示します。
 昭和の子どもたちが抱いた夢とあこがれは、大人になった現代においても懐かしい未来(=レトロフューチャー)として心の中に秘められているのではないでしょうか。本企画展を通じて、多くの方々に少年文化の魅力を感じていただけると幸いです。

※臨時休館のお知らせ
 新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、2月28日(金)から当面の間、臨時休館のため開催を見合わせることといたします。開催については改めてお知らせします。
 ご理解いただきますようお願い申し上げます。

【主催】

昭和館(厚生労働省委託事業)

【特別協力】

株式会社講談社

【後援】

千代田区・千代田区教育委員会

【会期】

令和2年3月14日(土)~5月10日(日)

【会場】

昭和館3階 特別企画展会場

【入場料】

特別企画展は無料(常設展示室は高校生以上有料)

【開館時間】

10:00~17:30

【休館日】

毎週月曜日(5月4日は開館、5月7日は休館)

【チラシ】

「SF・冒険・レトロフューチャー ~ぼくたちの夢とあこがれ~」チラシ  (PDF:2695.71 KB)

展示構成

Ⅰ 空想科学(SF)の黎明

 押川春浪が明治33年(1900)に発表した科学冒険小説「海島冒険奇譚 海底軍艦」はSFのさきがけといわれています。昭和期に入ると、海野十三が少年向けの作品を意欲的に生み出し、宇宙や海底、未来世界などを舞台とした科学冒険小説を次々と発表しました。また、軍事冒険小説が人気を呼ぶようになり、『少年倶楽部』誌上では山中峯太郎「亜細亜の曙」(昭和7年)、海野十三「浮かぶ飛行島」(昭和13年)などが評判となります。そのなかでも、樺島勝一による写実的で美しい挿絵は、多くの子どもたちを魅了しました。

海野十三「浮かぶ飛行島」挿絵原画

海野十三「浮かぶ飛行島」挿絵原画
(『少年倶楽部』昭和13年2月号)
画:樺島勝一

(あらすじ)シンガポールと香港の中間に英国軍によって建造された巨大な人工島に潜入した川上機関大尉と杉田二等水兵はこの島が移動可能な航空母艦であることを突き止める。日本攻略を企てていること知り、飛行島の爆破を決心する。

昭和13年(1938)
講談社蔵/長崎県美術館寄託

海野十三「太平洋魔城」挿絵原画

海野十三「太平洋魔城」挿絵原画
(『少年倶楽部』昭和14年12月号)
画:樺島勝一

(あらすじ)海洋学者・太刀川時夫は軍部より依頼を受け、海難が続く太平洋上のある地点の探査に赴く。そこで太刀川は、海上ににょきっと首を出した奇怪な魔城を見た。ソ連軍はこの魔城から日本攻略を企んでいた。

昭和14年(1939)
講談社蔵/長崎県美術館寄託

『少年倶楽部』表紙原画「撃墜」

『少年倶楽部』表紙原画「撃墜」
画:樺島勝一

昭和20年(1945)
講談社蔵/長崎県美術館寄託

『少年倶楽部』昭和20年3・4月合併号
表紙:樺島勝一

昭和20年(1945)


『機械化』 昭和18年7月号
表紙:小松崎茂「架橋戦車」

機械化国防協会が昭和15年5月に創刊した雑誌。小松崎茂が空想科学の世界で描く戦闘機や兵器が人気を博した。昭和20年2・3月合併号をもって廃刊となった。

昭和18年(1943)


Ⅱ 紙芝居・絵物語の世界

 昭和初期に始まった街頭紙芝居は、永松健夫が描いた「黄金バット」や、山川惣治による「少年タイガー」などの作品の人気によって全国へと広がりました。しかし、戦争とともに街頭紙芝居の人気は下火となり、戦意高揚を目的とした国策紙芝居が盛んに作られるようになりました。絵と文からなる紙芝居の技法は、その後、絵物語へと展開し、少年雑誌などに掲載されるようになりました。
 終戦を迎え、街頭紙芝居の人気が復活し、さらには昭和23年(1948)、永松健夫、山川惣治ら紙芝居作家が中心となって『冒険活劇文庫』が創刊されました。小松崎茂ら挿絵画家も絵物語作家として活躍し、山川とともに戦後の混乱期を生きる子どもたちから大きな支持を受けました。

街頭紙芝居「黄金バット」

街頭紙芝居「黄金バット」
画:永松健夫(武雄※)

世界中を舞台に、正夫探偵、まさる君等とナゾー配下のマゾー等との争いが起こり、危機的な状況になると正義の味方黄金バットが登場。空中や海底、地下で超科学的空想機械を駆使した戦いが繰り広げられる。
※本名は「武雄」の表記であり、戦中は本名、戦後はペンネームの「健夫」の表記を用いた。本企画展では著作物で多く用いられた「健夫」の表記で統一する。

昭和6年(1931)頃
個人蔵

(左)『冒険活劇文庫』創刊号、(右)『冒険活劇文庫』第3号

(左)『冒険活劇文庫』創刊号
表紙:永松健夫「黄金バット<アラブの宝冠」

昭和23年(1948)

(右)『冒険活劇文庫』第3号
表紙:小松崎茂「地球SOS」

昭和23年(1948)

永松健夫による「黄金バット<アラブの宝冠>」を看板に、絵物語雑誌として『冒険活劇文庫』が創刊された。第2号からは小松崎茂「地球SOS」の連載が始まり、子どもたちの人気を博した。

サンケイ児童文庫『少年エース』1巻口絵原画

サンケイ児童文庫『少年エース』1巻口絵原画
画:山川惣治

(あらすじ)赤ん坊の時、ベーリング海で遭難した信氏(のぶうじ)誠は、オットセイのハニーに助けられ、その群れの中で成長する。オットセイの指導者となった誠は、ベーリング海を舞台に、巨大シャチと一緒に大活躍する冒険活劇。

昭和36年(1961)
個人蔵

「大暗黒星」原画

「大暗黒星」原画 (『少年』昭和30年8月号)
画:小松崎茂

(あらすじ)1960年の春、地球に似た惑星「大暗黒星」から遊星人が地球侵略のために軍事基地を奇襲攻撃する。核攻撃を受けた北極の氷山が融け北半球の都市が水没するなど、危機的な状況から地球を救うために少年飛行士の高田わたると兄のさとしが奮闘する。

昭和30年(1955)
個人蔵


Ⅲ 少年たちの未来予想図

 高度経済成長期になると、少年雑誌は月刊から週刊へと移行していきます。昭和30年代初頭、少年雑誌では戦記物ブームが到来、さらにはSFという言葉も定着し、多種多様な「メカ」が動き回る未来の世界が描かれた口絵が人気を呼びました。
 戦後の少年文化がめまぐるしく変化するなかで、空想科学から戦記物まで、小松崎茂はそれぞれの時代の温度感を敏感に感じ取りながら、未来の世界・空想の世界を描き続けました。その作品は媒体を変えながらも、大衆に広く愛され、終戦直後の不安定な時代から高度経済成長期までうつりゆく昭和の時代を生きた子どもたちのあこがれでありつづけています。

「宇宙船ガリレオ号」表紙原画(『少年少女世界科学冒険全集』1)

「宇宙船ガリレオ号」表紙原画(『少年少女世界科学冒険全集』1)
画:小松崎茂

昭和31年(1956)
講談社蔵

「戦艦大和」原画

「戦艦大和」原画
画:小松崎茂

『週刊少年サンデー』第4巻第27号と『小学五年生』第15巻第4号の裏表紙原画。プラモデルの広告として掲載された。

昭和37 年(1962)
個人蔵

「宇宙ステーション」原画

「宇宙ステーション」原画
(『たのしい三年生』号数不明)
画:小松崎茂

科学者のヴェルナー・フォン・ブラウンが提案した宇宙ステーションをモデルに描かれた。ドーナツ型のステーションには「TOKYO」の文字が見える。

昭和33 年(1958)
個人蔵


イベントなど

(1)活動弁士による無声映画上映会

活動弁士:ハルキ   2011年 無声映画公演スタッフを経て活動弁士としてデビュー、2013年「オフィス・アゲイン」設立
期日:令和2年3月29日(日) ※中止になりました
 1回目 13時~13時45分
  演目:『月世界旅行』『一寸法師・ちび助物語』『のらくろ伍長』
 2回目 15時~15時45分
  演目:『月世界旅行』『モンブランの嵐』
場所:1階ニュースシアター
定員:各回60名

(2)春休み遊びイベント ※中止になりました

期日:令和2年4月4日(土)、5日(日)
時間:11時~15時
場所:2階ひろば
内容:型抜き、オリジナル缶バッチをつくろう、巨大すごろくあそび、ぬりえコーナー

(3)展示解説 ※中止になりました

担当者による展示解説を行います。
期日:令和2年4月12日(日)・4月26日(日)
時間:14時~(所要時間 約45分)
場所:3階特別企画展会場


担当:昭和館学芸部 林・渡邉
TEL.03-3222-2577
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