昭和館 映像・音響室では、4月29日から5月6日までのゴールデンウィーク期間中、隔日でおすすめの資料を紹介します。令和8年(2026)は、昭和元年(1926)から起算して満100年にあたることを記念し、所蔵する写真・映像・音響(SPレコード)の各資料から、全国各地その土地ならではの「昭和」の資料を選出しました。本日は新潟県にまつわる資料をご紹介します。
戦後、笠置シズ子が歌う『東京ブギウギ』の流行をきっかけに、昭和20年代にはたくさんの〇〇ブギ、〇〇ブギウギというタイトルのSPレコードが発行されました。地域振興などのために土地の名前を冠した“ご当地ブギ”も多くつくられましたが、新潟県十日町(現 十日町市)の『十日町ブギ』もそのひとつです。

歌の発表は昭和27年(1952)。第3節の歌詞を聴くと、十日町の織物産業振興のための宣伝歌、コマーシャルソングだったことがわかります。
※十日町市観光協会HP「とおかまちの唄」に歌詞が掲載されています。https://www.tokamachishikankou.jp/download/

このSPレコードは両面で、『十日町ブギ』の裏面は『十日町小唄(サッテモ節)』です。『十日町ブギ』の発表から遡ること20数年前、戦前の昭和4年(1929)に、十日町産の織物のひとつ“十日町明石ちぢみ”の宣伝のためにつくられた『サッテモ節』が、当時盛んだった新民謡の流行にのって全国的に広まりました。その『サッテモ節』を、戦後新たに録音したのが『十日町小唄(サッテモ節)』でした。
昭和12年(1937)に日中戦争、昭和16年(1941)に太平洋戦争が始まると、戦時下の統制によって、高級絹織物の生産を主体としていた十日町の織物産業は、縮小や停止を余儀なくされます。多くの織物工場が統合されて、一部は海軍の飛行服をつくる軍需工場になり、鉄製の織機を供出させられた工場もありました。昭和20年(1945)に戦争が終わってからも、織機の不足やGHQ(連合国軍最高指令官総司令部)による統制などのために、生産が本格的に再開したのは昭和22年(1947)頃、販売価格の統制が撤廃されたのは昭和24年(1949)のことでした。
戦前につくられた『サッテモ節』(十日町小唄)と、戦中・戦後の不毛の時代を乗り越えてつくられた『十日町ブギ』。どちらも昭和館5階の映像・音響室で音源を聴くことができます。